食えない現実召し上がれ

味気ない日々にお砂糖とスパイスと素敵な何かを

私には人生がてんでわからぬ

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仕事がつらい。

何がつらいの? と聞かれてもとっさにうまく答えられないけれど、つらい。
6時間勤務で土日祝休み、残業もないし大したことは全くしていないのにどうしても疲れる。
肉体的にというよりは、精神的に。

なんとなくギスギスした、あの空気。
何もやることがなくて仕事をしているフリをするしか ないあの時間。
嫌味ったらしい言い回ししかしてこない上司。
そういうのが全部、 嫌。
いつも何か怒られないかビクビクしている。怒られるようなことなんて大してしていないけれど。

誰かが怒られているのを見るのはどうしても苦手。
私のほうが泣きそうになる。

私はいま、障害者チャレンジ雇用という制度を使って公立高校の事務補助をやっている。
身分は会計年度任用職員という扱いで、 雇用期間は最長3年。
公官庁などで実務経験を積んで、民間企業にステップアップさせるという取り組みらしい。
でも、実際にその後次の職にありつけたのは全体の5割を切ると聞いた。
絶対に民間にステップアップなんて建前だけで雇用率満たしたいだけだと思う。

ちなみに私は今年がちょうど、 3年目。 最後の年。
チャレンジ雇用については来年頭くらいに実態をもっと詳しく書きたいな。
私がググってもまともな体験談が出てこなかった。
もしかしたら体験を発信できないレベルの障害を抱えている人のほうが多いという可能性もあるけれど。

ぶっちゃけ結婚までの腰掛け的な意味での就職だったし、『とりあえず3年はきちんと事務職として勤めましたよ』 という実績は作れたからよかったと思う。
障害者雇用で採用されるためのポイントはまず 『継続して働けること』らしいし。

電話を受けたら先生や他の職員さんに取り次いだり、 窓口に郵便物を分けて届けたり、図書館や保健室での事務作業を手伝ったりするだけの単調な毎日。
忙しいのは年度始まりくらい。

これで手取り10万。
配慮らしい配慮はないし、なんなら精神障害者への偏見はものすごく根深い。特にパワハラモラハラしまくりのうんちなオジサンがいて、昨年やっと異動した。
採用面接時の上司は1年で退職してしまってまともな引き継ぎもされていない。
でも、有給休暇はすぐ取れるし1時間ごとに10分くらいはトイレでサボっていても怒られ ないからそういう点はラク
まぁ、いわゆる腫れ物扱いという感じ。
障害者雇用率と補助金のために雇われたであろうことは私も承知している。

たぶん就労継続支援施設で働く利用者とかのほうが、低賃金でよっぽど厳しいし難しいことをしていると思う。

……本当は大学を卒業してから精神保健福祉士の資格を活かした仕事をしたかった。
でも、国家試験が終わってひと息ついたころにはまともな求人がひとつもなかった。
「国試終わってからでも余裕で間に合うよ」という大学のキャリアサポートスタッフが言ったことを真に受けた私が馬鹿だった。

私は病院よりは就労継続支援とか、 デイケアとかが第一志望。
これは実習先の病院が地元ではあまりに有名で、 何度も事件を起こしているような問題だらけの病院だったっていうのも影響している。
精神障害者ということもオープンにして、職員と利用者の中間に立った支 援をするのが理想だった。

福祉業界は万年人手不足ですぐに内定が出るよ、と先輩や先生たちは口をそろえていた。
実際、この私ですら大学の秋ごろにはいくつかの施設から内定が出た。
でも、いざとなると夜勤があるとか給料も違うとか勤務地が山奥だとか言われたのですべて辞退した。
ハロワにも載っている求人だったので窓口に「求人票と実態が異なっている」と文句は言ったが、 特にその施設がペナルティを受けている様子はなかった。
たぶん福祉業界ではこういうことがよくあるのだろう。
おまけに精神保健福祉士社会福祉士の下位互換とか勘違いしていたり、 そもそもどういう資格なのかわかっていなかったりする施設もかなりあった。

それに実習やボランティアなどで、自分が福祉業界に向いていない人間だというのは薄々気づいていた。
国家試験の勉強はかなり得意で、模試でも毎回トップ10には入っていたけれど実践となるとどうもうまくいかなかった。
というのも、現場の職員は基本的にみんな 『健常者』だからだ。

中には無資格で勤務して実務経験はあるけれど、 知識はないという人も結構いる。
きっと夜な夜な眠れずに泣きながら自殺方法を検索したことなんてない、きれいな左手首を持つ、生粋の 『健常者』。リア充陽キャと言い換えたほうが適切なのかもしれない。
いくら福祉業界にいるからといって精神障害者に理解があるわけではなく、ただ仕事として何の信念も熱意もなく淡々とやっているだけの人たちが思っている以上に多かった。

そういう環境に、社会に、私は耐えられなかった。 大学 が精神障害者に理解のある人ばかりで恵まれた環境だった分、余計に。

少し前は正社員を目指そう! とにかく稼がなきゃ! と必死にあがいていたけれど今はもう諦めた。
障害者手帳がある人間は税金とか保険料の控除がたくさんあるから、無理して高所得を目指すとかえって損をするらしい。
住民税がかからない程度に稼ぐのが一番賢いとかなんとか。

そう思うと気楽になれた。
はずなのに。
心を埋め尽くすのは将来への漠然とした不安と希死念慮……。
どうしたらいいんだろうね。私には人生がてんでわからぬ。