食えない現実召し上がれ

味気ない日々にお砂糖とスパイスと素敵な何かを

センチメンタル・アマレット・ポジティブ

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うさぎちゃん、という私と同い年の女の子がいた。ほっそりしていてロリータ服の良く似合う、本当にかわいい、私の憧れみたいな女の子だった。
そして、彼女は典型的なメンヘラ女だった。何度もODとリストカットと自殺未遂と精神科病棟への入院を繰り返し、2017年6月17日に自殺を完遂した。
直接会ったことはないけれど、LINEも交換して電話もしたことがあるし、週に1度はやりとりするそこそこの仲良しだった。
今回は彼女のことを、書き留めておきたい。
ネット墓標のようなものとして。何もできない私からの、せめてもの弔いとして。

知り合ったのはTwitter。たしかメンヘラ一方通行botの管理人が彼女だったのがきっかけ。たぶん高校3年くらい?
しばらくはTwitterの相互フォローってだけで、特に絡みがあるわけじゃなかった。
私が一方的にブログ読むとかはしてたけれど。

それから少しして、おそ松さんにお互いハマって、推しも一松で一緒だとわかったあたりでよく話すようになった。

うさぎちゃんのお母さんが私と同郷で実家もあるとのことだったから、いつか会えたらいいねなんてことも言っていた。……結局叶わなかったけれど。

うさぎちゃんはとにかくかわいいものが好きで、お洋服やアクセサリーなんかはかなりの数を持っているみたいだった。中には高価なブランドもあったし、そもそもロリータ服というものは総じて高い。……そのお金は援助交際や箱ヘルをして稼いでいた様子。家からの支援も多少はあったようだけれど、やはり申し訳ないという気持ちが強くて使いづらいみたいだった。
私の母がハンドメイドでアクセサリーを作っているというツイートを見たらしく、ガラスの靴のイヤリングを母から買ってくれた。そこからうさぎちゃんは私の母とも多少つながりはあってLINEは知っていた。だから、私が自殺を決行したときうさぎちゃんが母に連絡をしてそこから事情を知ったと聞いた。

うさぎちゃんは私以上に気分の浮き沈みが激しい女の子だった。双極性障害摂食障害境界性人格障害だと本人は確か言っていたと思う。左腕のみならず右腕や脚(太もも付け根あたり)まで結構な傷を作っていたり、ブロン等の薬をODしたり、スニッフしたりしていた。
薬を飲みすぎたり、リスカやアムカをやりすぎたりして病院に運ばれ入院することになったというツイートも複数回見かけた。
どこだかの大学の文学部へ進学はしたけれど、結局通えなくなり休学からの退学だったと思う。
将来は家業(おそらく神社仏閣?)を手伝うみたいなことを言っていた。
「もう死ぬ」みたいなことは何度となく言っていたから、また自殺したとしても未遂に終わってきっと帰ってくると思っていた。
何かしらリプライを送ってあげればよかった、と思うけれど今でもなんと声を掛ければよかったのかはわからない。

うさぎちゃんはバイセクシャルだったようで、男女の恋人がそれぞれ1人いた。
女性の恋人のほうとは当時うさぎちゃんを通じて相互フォローになって、今もそのままつながっている。ほとんど話したことないけれど。
男性の恋人のほうはアカウントだけはうさぎちゃんが晒していたから知っている程度で、特に接点はないままだった。まぁ、友達の彼氏のTwitterをフォローするのも変だと思うし。
……どうもその恋愛関係がこじれたのが、自殺の一因だったんじゃないかと私は思う。
メンヘラ女というのは私も含め依存心が強くて、いざ別れるとか少し距離を置きたいとなると自分のすべてを否定され見捨てられたような気分になってしまう。
そういう鬱の極限みたいな状態から少し回復して行動力が出ると、さぁ死のうとなるんだろうなと思う。突発的自殺のほうが計画的自殺より勢いがあるから、余計に完遂率が上がりそうな気がする。

深夜に歩道橋から飛び降りて、それまではまだ生きていたらしい。偶然通ったトラックに轢かれて、亡くなったとうさぎちゃんの恋人(女性)から聞いた。
私が知ったのはなくなってから数日後。大学の授業をサボってTLを流し読みしていた時で、ただ茫然とするだけだった。少しトイレで泣いたような気もする。

でも、私は非常に性格が悪いのでひとしきり悲しんだ後、『ずるい』という感情をおぼえた。
……私の自殺は邪魔しておいて、自分はさっさと死んじゃうなんて。ずるい。私も死にたかった。

結局私は生き残ってしまい、うさぎちゃんは亡くなった。だからこうして、命日でもなんでもない日だけれど思い出す。

思い出して、せめて私の中だけでも死なせないように。